まちの歴史に親しむきっかけに

(2016年10月18日)


 高崎市全域に名所旧跡案内板が設置されていることに、みなさんお気づきだろうか?
 その数183点。地域の人が推薦する“自慢のスポット“や”歴史スポット“に案内板を立て情報発信することで、地域の魅力を浮き彫りにする。
 今回、高チャリに乗ってまちなかの案内板を数カ所巡ってみた。思わぬ地元の歴史との出会いに、それぞれの時代に生きた人々の息づかいが感じられ、気のせいか見渡すまちの風景が違って見えてくる。
 

「名所旧跡案内板」まちなか篇
 

●優れた人材を輩出した知の拠点 高崎英学校跡
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 明治3年(1870)に、高崎藩最後の藩主大河内輝聲が、石上寺跡に英学校を開設。その後、檜物町に校舎が建てられた。官立の外国語学校が東京ほか全国7カ所に開設されたのはその3年後のことで、いち早い画期的な取り組みだった。しかし2年ほどで廃校となった。
 輝聲の弟で衆議院議員・歌舞伎座社長の大河内輝剛、思想家・聖書研究家の内村鑑三、名古屋大学医学部の前身・義病院院長の張三石などの高崎藩関係者を輩出。その他、憲政の神様と称された大政治家・尾崎行雄、生糸貿易・日米民間交流の先駆者の新井領一郎らが学んだ。
 
●江戸の商家の佇まいを今に伝える 金沢米穀店
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 元禄3年(1690)に倉賀野で創業し、市街地に今日まで続く数少ない商家の一つ。江戸時代は輸送手段が舟運で倉賀野河岸を利用していたが、高崎線の開通で輸送が鉄道に移るのを見越し、あら町に転出。5年後に現在地に移転した。間口全体四間が格子戸造りで、京風商家の粋が伝わってくる。全体は、店舗・母屋・離れ・中庭・土蔵と奥行の深い“うなぎの寝床”といわれる商家の特徴を残している。
 
●創業450年! 高崎で最も歴史のある老舗 糀屋と火伏稲荷
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 永禄9年(1566)に飯島喜太夫という人が和田宿に居を構え、初代糀屋藤平を名乗ったという記録が残る。醸造技術を持っていたことから、箕輪城主長野氏に武士に取り立てられた。
 酒・味噌・醤油などを作るための麹菌を作ることを生業として、今日では漬物などを製造販売している高崎で最も歴史のある老舗。敷地内に残された享和2年(1802)の銘がある火伏稲荷の祠が店内に置かれている。精密な彫刻が施され、全てにわたり精巧な職人の技が見られる。
 
●鞘町の町名の由来は? 右京柄(右京拵)
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 鞘町の地名は、高崎藩時代に刀の鞘師が居住していたことに由来する。高崎藩松平大河内家は、刀の柄に美しい独自の創意を用いていた。この柄を始めたと伝わる藩主松平輝貞の官途名の右京大夫から「右京柄」と呼ばれる。この案内板は鞘町稲荷の所にある。
 
●九蔵町の町名の由来を伝える 九蔵稲荷(正法寺境内)
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 この地に住んでいた北爪九蔵が高崎の地侍として、慶長20年(1615)に高崎藩主酒井家次に従い大坂夏の陣に出陣し手柄を挙げた功績により、九蔵は家臣として召し抱えられ、この地を賜った。その後、江戸留守居役にまで昇進。九蔵の功績から、この地が九蔵町と呼ばれるようになり、後に九蔵を祀って稲荷社を建立。その後、火事が多かったことから火難除けの神として信仰される浅間神を勧請し合祀した。
 
●近代高崎の夜明け前夜に起きた「御伝馬事件」の供養碑(あら町延養寺境内)
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 「御伝馬事件」とは、近世から近代へ移り変わる高崎城下の新町で起こった一揆のこと。参勤交代が定められていた江戸時代、宿場から宿場への荷物の運搬を無償で担ったのが御伝馬継立所で、高崎城下では本町、田町、新町に置かれていた。宅地の年貢は免除されたものの、経費は町民に割り当てられたため、大商店の少なかった新町は、御伝馬の経費を捻出するため、角力(相撲)と見世物興業、旅籠に飯盛女を置くことを高崎藩に請願し、一度は許されたもののすぐに取り消された。追い打ちをかけるように、文久2年(1862)正月に本町から出た火事で町民の困窮は限界に達し、総代等は禁制を犯して目安箱に訴えた。結果、刑死者は出なかったが、主な町役は入牢となり町は大打撃を受けた。この事件は5年をかけて隣接の素封家の尽力により落着したが、時代は明治へと移っていった。
 後に初代高崎市長となった矢島八郎。矢島八郎の「市是」の実現を支えた産業資本家井上保三郎。近代高崎の礎を築く大きな原動力となった二人の父親が、共にこの事件に深くかかわっていたこという点が非常に興味深い。
 
             ■ ■ ■
 
 平成27年度に高崎市が設置した183ヶ所の名所旧跡案内板。埋もれた歴史・文化を掘り起こし、市民に地域を再認識してもらうことが設置の目的であり、地点を増やし更なる充実が予定されているという。来街者に向けてまち歩きに役立ててもらうことも視野に入ってくることだろう。そのためには、今後、どこにどのような案内板があるかという情報発信が期待される。
 皆さんも本誌を手に、是非まちめぐりしてみてはいかがでしょうか。

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