高崎の食品工業 スイーツ集積が加速(3)

(2019年10月31日)

高崎のスイーツブランド

ハラダ高崎工場西棟が姿見せる

株式会社原田(原田義人社長、本社=高崎市新町)は「ガトーフェスタ ハラダ」ブランドで成長を続け、洋菓子の全国ブランドとしての地位を築いている。

 

本誌2019年7月号で紹介したが、高崎工場「シャトー・ドゥ・クレアシオン(下之城町)」で、西棟の建設工事が進んでおり10月竣工の予定だ。既に西棟の外観が見えており、コーポレートイメージを継承し、重厚なデザインが目を引いている。

 

西棟は、5階建て・延べ床面積約1万5千㎡で、高崎工場の倉庫・物流能力を現状の1.5倍に拡充し、本社のある新町から第2工場の生産ラインが移設される。

 

高崎工場は、同社の拠点工場となっており、看板商品のラスク「グーテ・デ・ロワ」、焼き菓子、ゼリーなどのスイーツを生産。新設した西棟により物流能力、生産能力を高め、製品・サービスの向上をはかっていく。

 

ドンレミーの洋菓子と「旅がらす」

洋菓子メーカー「ドンレミー(本社東京、木本髙一朗社長)」の榛名工場(高崎市保渡田町)は、平成12年に操業を開始した。ドンレミーは木本製菓株式会社の系列で、ホテル「ココ・グラン高崎」ほかホテル事業、立体駐車場「ココパルク800」、高崎オーパとペデストリアンデッキで接続した高崎駅西口の駐車場「ココウエスト」なども手掛けている。

 

また観音山錦山荘の経営取得(現在長期改装中)、高崎ビューホテルの事業を「ホテルグランビュー高崎」として継続させるなど、木本グループは高崎で多角的に事業展開している。

 

平成26年9月に株式会社旅がらす本舗清月堂を買収し、子会社(前橋市新堀町、糸井義一社長)として事業継続をはかった。

ドンレミーの洋菓子は、ホテルココグランのアウトレット店でも販売され、人気となっている。「旅がらす」は昭和33年に発売開始したロングセラーで、群馬県民であれば誰もが食べたことがあるのではないか。幅広い世代に喜ばれ、群馬のお土産となっている。

 

伝統や地域性を生かした食品製造

 

昔ながらの味わい「藤平の甘酒」

永禄6年(1563)に元紺屋町で創業した「糀屋(問屋町、飯島藤平社長)」は、高崎の老舗の中の老舗である。当主は代々「藤平」を襲名し、現在で22代目。味噌、たまり漬けを製造販売し、甘酒も好評で販売が広がっているようだ。

 

「糀」は昔ながらの手作りで、本物志向、自然志向、健康志向の高まりの中で、注目されている。

 

甘酒には酒粕から作ったものと、米麹から作ったものがあり、糀屋の甘酒は「米麹の甘酒」。開発に3年をかけた労作だ。商品のラベルには大正時代の糀屋の店と「糀屋藤平」をデザインし、思いをこめた。甘酒の自然な甘さが魅力の逸品だ。

 

榛名・箕郷で梅製品を製造

全国有数の梅産地である榛名地域・箕郷地域では、梅加工品の生産が行われている。梅生産者が製造を手掛ける事業所もあり、各社ともに自社の味を打ち出している。

 

高崎の品種は「白加賀」が中心で、甲州、梅郷、南高なども栽培されている。梅干をはじめ、梅酒、梅ジュース、カリカリ梅、梅ジャムなど数多くの梅製品がある。

 

小売り向けの商品だけでなく、PB(プライベートブランド)商品やOEM(相手先ブランド)商品も製造されており、高崎の梅製品が全国に流通している。パッケージに高崎と書いていなくても、実は高崎で作られているというケースもあるだろう。

 

時代のニーズと多種少量化

市川食品(高崎市行力町、市川英久社長)は、群馬名産「こんにゃく」の老舗メーカーだ。「祐八こんにゃく」のブランドで知られる同社は、大正14年(1925)に成田町で創業。平成6年に行力工業団地内の現在地に移転、平成29年に第二工場を増設している。

 

群馬県は古くから良質なこんにゃく玉の産地として知られ、市川食品は伝統の技と新しい技術との融合を図り、健康的な自然食品の製品開発を行っている。

 

群馬県特別栽培農産物認定を受けた、減農薬・無化学肥料栽培のこんにゃく生芋から製造した風味豊かな生芋こんにゃくなど新しい商品も開発している。ライフスタイルや食生活が変化し、お惣菜など「中食」分野の需要が増えたことにより、中食ビジネス向けの商品に力を入れている。こんにゃくのカットサイズが多様化し、少量多種生産に対応している。

 

こんにゃく製品は、鍋や煮物などが食卓に並ぶ秋から冬にかけて消費量が増える。また山形県の芋煮に代表されるように全国各地で、こんにゃくの消費量も大きく違っている。また白いこんにゃくを好む地域もあり、食文化の違いもあるという。

 

海外では、こんにゃくを食べる習慣が無いので、国内市場が中心となっているが、和食ブームによる需要拡大も見込めるそうだ。またシラタキは、低カロリーの「こんにゃくヌードル」として注目されている。

 

次の時代を視野にパンづくり

江木食品工業(江木町、堀越芳春社長)は昭和22年に創業し、地域に根差したパンの製造、販売を行っている。

 

戦後、モノのない時代に出発し、70年余にわたり食を通じて地域に貢献してきた。学校給食に携わり、給食パンの多種化や米飯導入にも対応。飲食店や施設等への業務用パンの供給など、顧客ニーズの多様化に対応している。直営店「アンファン」での焼き立てパン販売、地域のイベント参加も行っている。

 

同社の相川賀保管理本部長は「夢がないとやっていけない仕事」と語る。パンの発酵は地域の風土、季節、それぞれの機械で違ってくるので、レシピを学ぶだけではおいしいパンは焼けないという。

相川本部長がイベント会場でパンを販売していると「江木食品さんね」と言われ、長く高崎でがんばってきたことの大切さを感じるという。

「事業も転換期と感じており、次の時代に向かってきっかけをつかんでいきたい」と相川本部長は意欲を語る。

 

 

 

高崎の「おいしい産業」に期待

食品生産の基盤となるのが「安心安全」で、工場内では、まさに髪の毛一本を許さない徹底管理が行われている。各企業はその厳しい経営基盤の上に、食文化の創造や地域貢献を行っている。

「メイドインタカサキ」のナショナルブランドは、市民の誇りだ。ケロッグや森永製菓、ガトーフェスタ ハラダなどの製品は、都内で行う高崎市のシティプロモーションで、「メイドインタカサキ」として紹介し、来場者に好評を博した。

 

大企業の立地とともに、市内中小事業者の製品が全国に展開し、企業の成長・発展につながっているのも高崎の産業力となっている。

また高崎の工業の特色である化学工業の一翼を担う群栄化学工業も、戦後の食料品生産と深く関わり、高崎の産業史を語る上でも重要な企業だ。

高崎の食品産業=「おいしい産業」にこれからも期待したい。

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2109年9月号

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