景観が高崎の“思い”を未来につなぐ(2)

(2018年11月30日)

各地域の都市景観

倉渕町三ノ倉の田園風景

高崎・都心地域

高崎駅周辺の都心地域は、高崎城の城下町として形成され、公共交通の結節点、経済の中枢として発展してきた。群馬の玄関口、「商都」としてにぎわいのある景観が形成されている。

高崎城址地区には、高崎城下の歴史を今にとどめ緑あふれるお堀や史跡のほか、文化・公共施設が集積し、様々なイベントが開催される市民の憩いの場所となっている。歴史文化・公共ゾーンとしての特性を生かし、緑豊かで潤いのある景観が求められている。

中心商業地は、ビル街が形成するにぎわいのある景観となっている。高崎駅西口エリアは高崎アリーナや大型商業施設など開発が進んでいる。東口エリアは、ビジネスゾーンが形成され発展を続けている。高崎芸術劇場などの都市開発も進み、今後、先進的な景観形成が期待されている。

 

高崎・問屋町周辺地域

問屋町は、昭和42年に市内卸商社約170社が集まり、日本で第1号の卸商業団地「高崎問屋街」として誕生して以来、商工会議所やビエント高崎展示会館などが立地し、北関東の流通が集積する中核拠点として発展してきた。

高崎市は、問屋町周辺地区を本市の副都心として位置づけており、活気と風格のある商業・業務地景観の形成が求められている。平成16年には地元関係者が主体となって「高崎問屋町地区地区計画」を制定し、まちづくり活動が進んでいる。

平成16年10月に高崎問屋町駅の開業により、問屋町の新たなにぎわいが創出されている。高崎問屋町駅の乗降客は開業以来、増加を続けており、平成29年は一日平均7,420人で市内では2番目の乗客数、県内JR駅の中で最も高い伸び率となった。

 

高崎・観音山周辺地域

山名城址から清水寺、高崎白衣大観音から鼻高へと連なる観音山丘陵は緑にあふれ、烏川や碓氷川の豊かな水の恵みとともに都市に潤いを与えている。市街地からの眺望だけでなく、丘陵部から市街地への見晴らしや夜景など、良好な眺望点となっている。

清水寺や高崎白衣大観音などの歴史文化資源、観音山公園や野鳥の森、染料植物園などの公園施設、レジャー施設の宝庫であり、高崎市も観音山公園・ケルナー広場などを整備し、市民や観光客が多く訪れている。

 

高崎・東部地域

東部地域では、広大な田園を井野川や滝川が縦断し、養蚕農家住宅や屋敷林など、昔ながらの田園集落景観を今も見ることができる。群馬の森は、緑に囲まれた市民の憩いの場であり、県立近代美術館、県立歴史博物館が所在している。周辺の観音山古墳、岩鼻代官所跡、研究開発施設などと調和した景観を創り出している。

地域の大半は市街化調整区域となっているが、関越自動車道と北関東自動車道が分岐する高速交通の拠点性が高い。高崎東部工業団地、群南工業団地などの本市を代表する工業地が多数存在し、高崎スマートIC産業団地、高崎市総合卸売市場周辺開発も進んでいる。

 

高崎・北部地域

北部地域は、灌漑用水路の長野堰が流れ、榛名山などへの眺望景観も良好な地域。国道17号や環状線に沿って商業・業務施設が立地している。大八木工業団地には工場などが集積する一方、高崎渋川線バイパスの開通により新たな商業施設が進出し、屋外広告物の設置が目立っている。

主要幹線道路沿道では、商業・業務施設と住宅地や田園が混在している。浜川運動公園の拡張が進んでおり、スポーツを通じた地域発展も期待される。

 

高崎・西部地域

西部地域は、観音山丘陵から鼻高へ連なる緑あふれる山並み、丘陵の緑と一体となった碓氷川の水辺景観が見られる。中山道沿道の茶屋本陣や一里塚、観音塚古墳や観音塚考古資料館など、歴史文化資源が豊富にあり、風情のある景観が形成されている。地元住民が主体となって、鼻高丘陵の遊休農地を活用した市民農園の運営、自然環境や景観の保全に取り組んでいる。「鼻高展望花の丘」には多くの観光客が訪れ、上毛三山を一望できるスポットにもなっている。

群馬八幡駅周辺には、八幡工業団地や八幡第二工業団地があり、その周りに市街地が広がり、近隣には新駅設置の構想も進んでいる。環状線や国道18号沿道には商業施設も集積している。

 

高崎・南部地域

南部地域では、中山道に沿ってかつての宿場町の面影が残り、倉賀野町には脇本陣や閻魔堂、倉賀野おもてなし館のほか由緒ある社寺も多く、歴史的なまちなみを見ることができる。倉賀野河岸跡の碑、浅間山古墳、上野三碑の山上碑と金井沢碑などの歴史文化資源が豊富に存在している。

烏川と観音山丘陵が一望でき、万葉集の東歌に詠われ、かつては渡し舟が岸の東西を行き来していた佐野橋からの眺望は美しく、市民に親しまれている。国道17号沿道では工業団地や商業施設が集積している。

 

倉渕地域

倉渕地域は、烏川と山々を中心とした水と緑の豊かな自然環境を持つ。烏川周辺は、周囲の山並みや田園集落への良好な眺望点となっており、美しい田園・集落景観が見られる。

国道406号沿道や山地の緩斜面には、養蚕業や林業を営んできた伝統的な農家住宅や石垣、屋敷林、斜面林が調和した集落のまちなみが残されている。

社寺や道祖神などの歴史文化資源が多く、幕末の偉人・小栗上野介ゆかりの地であり、これらの歴史文化資源は、地域の伝統行事や「道祖神の里めぐり」「小栗まつり」などのイベントに活用されている。新たに整備された道の駅「くらぶち小栗の里」や「くらぶち英語村」は木のぬくもりを放ちながら地域間交流の一翼を担っている。

 

箕郷地域

箕郷地域は、榛名山や赤城山の眺望、市街地への見晴らしや夜景を美しく見ることができる。箕郷梅林や箕輪城跡は、景観資源や観光資源であり良好な視点場にもなっている。

箕輪城は、現在の箕郷支所の北側に位置し、周辺一体は城下町として栄えた。往時の門の復元など整備が進む国指定史跡・箕輪城跡や県指定重要文化財の旧下田邸書院及び庭園、矢原宿の歴史的まちなみなど、当時を偲ばせる歴史文化資源が今でも残されている。

金敷平地区や善地地区などの田園地域では、日本の原風景というような棚田や養蚕農家住宅、屋敷林などからなるのどかな農村景観が見られ、箕郷町出身の洋画家山口薫は、この地域の風景を作品に残した。

 

群馬地域

群馬地域は榛名山の雄大な山並みを背景に、地域の特産品である国府白菜などの畑や水田が広がっている。また、養蚕業の名残をとどめる養蚕農家住宅や土蔵、屋敷林などが一体となった田園・集落景観が形成されている。

古代からの歴史遺産が数多く存在し、国指定史跡の上野国分寺跡や保渡田古墳群は史跡公園として整備され、地域全体で大切にされている。

高崎・都心地域や前橋市に近い南東部の地域では、住宅団地の造成や宅地開発が進み、戸建て住宅の連なるまちなみが形成されている。

西毛広幹道の整備が進む中、高崎渋川線バイパスや前橋安中富岡線などの幹線道路沿道には、商業施設が進出し、屋外広告物の設置が目立っている。

 

新町地域

新町地域は、中山道新町宿の面影を残すまちなみ、旧新町紡績所、明治天皇新町行在所、於菊稲荷神社など歴史文化資源が残されている。

新町駅の徒歩圏内に支所や図書館、公園や児童遊園が整備された住宅地が形成され、主に戸建て住宅からなる落ち着きのあるまちなみが見られる。JR高崎線沿線や国道17号、産業道路沿道に工場が立地し、昔を偲ぶ工場などの建物も残されているが、駅前通りで催される様々なイベントが街に彩りを与えている。陸上自衛隊新町駐屯地の桜並木なども桜の名所となっている。

 

榛名地域

榛名山の榛名富士や榛名湖周辺では、四季折々に変化する美しく雄大な自然景観が見られる。榛名神社とその門前の社家町では、神社と奇岩や樹林が一体となった荘厳な景観や宿坊などのまちなみが見られ、地元住民によるまちなみの修景やイベント活動が熱心に行われている。

榛名梅林が里見丘陵一体に広がり、一面に梅の花が咲く様子や山並みの眺望、市街地への良好な見晴らしを楽しむことができる。国道406号「くだもの街道」沿道には、農産物直売所・果樹園などが集積している。信州街道の室田宿や神山宿では、宿場町の名残を留めるまちなみが見られる。

 

吉井地域

吉井地域は南と北を山地や丘陵部で挟まれ、中央を流れる鏑川沿いの田園地帯を貫くように上信電鉄・上信越自動車道・国道254号が走っている。電車や車から見える田園と背後にそびえる山並みが調和した里山風景が、この地域の代表的景観となっているが、吉井中央公園(仮称)や新たな幹線道路の整備も進んでいる。

地域中心部には、ユネスコ「世界の記憶」上野三碑の国指定特別史跡「多胡碑」が保存されており、隣接して多胡碑記念館があり、古代日本のロマンをかき立てる景観要素となっている。

かつて姫街道と呼ばれた国道254号の沿道には、往時の姿を偲ばせる歴史的な商家が点在し、周辺には歴史的な寺社も数多い。

地域の南に位置する牛伏山では、アジサイやサクラが植栽された美しいハイキングコースが整備され、山頂には展望施設が設けられ、上毛三山や高崎の市街地を一望するポイントになっている。高崎市街地からの主要幹線道路の高崎神流秩父線沿道には、大型店舗が建ち並んでいる。

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2018年11月号

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