年末年始のかきいれ時 奮闘するまちなかの小売店

(2018年12月31日)


平成30年11月に高崎OPAに東急ハンズが出店。高崎駅ビルモントレーや高崎髙島屋も加わった大型店3店舗の合同イベントなども開催され、駅周辺は一層の賑わいをみせている。小売業界にとっては、これから年末年始に向かって一年で最も売上が上がるシーズンの到来となる。

高崎信用金庫が顧客499企業について景気の現状と今後の見通しを調査し、3カ月ごとに発表している『景況レポート』でも、小売業は過去3年間10月〜12月期の売上額は年間を通して最も高い数値を示している。

そこで、まちなかの路面に立つ小売店を訪ね、売上の上がるシーズンに向けて展開する販売戦略等について聞いてみた。

 

和装文化を盛り上げる

呉服店『きもの彦太郎』

 

「着物を着たいという人、特に若い女性だけでなく男性の需要に関しても日頃より手応えを感じています」と言う呉服店『きもの彦太郎』の店長・小池豊さん。若いデザイナーがデザインしたポップな柄のクリスマス用の帯を手に、「手頃な価格帯で、洋服感覚で気軽に楽しめる着物や帯を多数ご用意しています」と話す。新年に向けては、市内各所で群響の元旦コンサートや茶道の初釜、新年会などが催される。こうした和装の機会の多い時期に、顧客向けのお値打ち価格のバーゲンセールも開催する。

染め工房見学や紅葉ツアーで都内に足を伸ばしたり、地元では観音山の万灯会に浴衣姿で出掛けたりと、商品だけでなく着物を着る機会の提供や、和の生活スタイルを好む顧客同士をつなげる役割を果たしながら、着物文化を盛り上げている。

また、同店のスタッフがマンツーマンでレッスンする『一日着付け講座』が好評だ。初心者でもひとりで着物を着られるようになり、着物で一緒にランチや散歩をしながら、着こなしに関するアドバイスも受けられる。TPOにあわせた着方や帯結びのコツやコーディネートも習得できる。

 

顔の見える商売は地域店の強み

家電販売『サウンド・エコー』

12月1日より高画質の4K放送が民放・NHKで始まったことを受け、年末年始の4Kテレビ商戦が今、沸騰している。連雀町の『サウンド・エコー』でも、黒モノ家電の主力は4Kテレビだ。55〜65インチのテレビが50代以上の世代を中心に売れているという。11月23日には高崎問屋街センターで、県内のソニーショップ合同のセールを行い、12月には14日〜16日の3日間、店舗で大売出しを開催した。

ソニーでは“テレビで見たいのは、もうテレビだけじゃない”というキャッチコピーのもと、テレビ番組だけでなくネット動画も美しく見られる環境を整えている。

さらに、テレビの種類によっては、「Googleアシスタント」を搭載することで、やりたいことや聞いてみたいことを、リモコンのボタンやスピーカーに話しかけ、ハンズフリーで操作できるようになり、照明やエアコンを作動させることも可能だ。

同店では、そうした新しい生活スタイルを店舗で体験できるようコーナーを設け、顧客に対してわかりやすくライフスタイルの提案を行っている。

堀越社長は「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、TVを販売するチャンスが広がっています。また、当店はお客様とのつながりを大切に、お客様の顔が見える商売をしています。ですから、商品を単体で販売するのではなく、ネットワークとしてつながる利便性を前提にした提案ができるところが強み。大型家電販売との差別化を図っています」と意気込んでいる。

 

日本の伝統的なエナジードリンクはいかが?

老舗茶舗『水村園』

本町の中山道沿いで茶業一筋に161年の歴史を刻み、お茶の文化を大切に伝承してきた水村園。六棟が連なる土蔵は国の登録有形文化財に指定され、日本に現存する最古の茶葉(明治14年産)が土蔵から見つかった。中庭には高崎の水道の最も古い水栓柱の一つが今も使われている等、まるで博物館のような高崎で最も歴史のある茶舗だ。

店主の小見勝栄さんは「昭和34年からの道路拡張工事で古い建物は消え、通りの姿が一変。ここ数年では、駐車場が増え、商店街も形成できない寂しい通りになりました」と店舗営業者にとっての厳しい状況を話す。立地上、えびす講市では客の入りが見込めないため、一週間早く売り出しを行っている。

一方で、日本茶を取り巻く状況も厳しく、「ペットボトルの登場や、核家族の増加、日本人のライフスタイルの変化等によりお茶屋は存続の危機にある。20、30代の5割以上の世帯に急須がない現状ですから」と頭を抱える。葬儀の引き出物用の日本茶に関しても、メーカーと葬儀社の直接取引が行われるようになった。かつて1月2日の初売りで100万円近く売り上げたこともあったが、今ではその額の消費税分にも満たない。

店舗では、小見さんが商品開発した合鴨農法の有機玄米と厳選茶葉を微細粉末にした『粉末玄米茶』、紅白の達磨の容器に入った番茶とほうじ茶のセットの『高崎だるま茶』がユニークで目をひく。年末年始の贈答用やインバウンド用のお土産としてもお勧めだ。

粉末玄米茶はお湯を注ぐだけで、香り高い一服のお茶となる。しかも、玄米の有効成分とお茶のカテキンがまるごと摂れる。家事や仕事の合間に癒しの一服を、是非!

 

 

 

 

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