冷凍冷蔵機器のスペシャリスト
―人材と技術の個性派企業―

(2016年05月26日)

細谷工業株式会社

●スーパー・コンビニ業界で示した実力
 コンビニの最大手が群馬にチェーン展開を計画した際、店舗の冷凍冷蔵・空調設備の工事とメンテナンスをできないかと、細谷工業に声がかかった。細谷工業は業務用の冷凍冷蔵設備、空調や給排水衛生設備の企画提案・設計・施工・メンテナンスを行う総合設備会社で、当時の社長は、現・細谷可祝社長の父、細谷力雄相談役。既に細谷工業は県内スーパーでの施工、メンテナンスの実績・経験を持っていた。しかし、24時間365日営業のコンビニに対応できるのか。「父もずいぶん悩み、幹部、社員と議論を重ねたようです」と可祝社長は語る。
 メンテナンス業務の条件の一つが「90分ルール」。コールがあってから、90分で現地に到着しなければならない。一年中昼夜を問わず、いかなる時でも90分で店舗へ行ける体制など、実現できるだろうか。色々なリスクを考えると二の足を踏むのは当然だ。「やろう。やるべきだ」と、社長だった力雄相談役は決断した。

 
●機動力を強みに関東圏に展開
 コンビニの業務は細谷工業を鍛え、気が付いてみると、機動力のあるメンテナンス部隊は同社の大きな強みとなった。そのおかげで一般のお客様にも24時間365日対応のメンテナンスサービスを提供できるようになった。
 コンビニチェーンでは、本社が群馬県と埼玉県北部の約500店舗を所管し、次いで千葉県下の約500店を一気に任され、千葉営業所を開設した。更に神奈川県へも事業展開し、横浜営業所も開設している。
 スーパーマーケットとの取引も古く、その件数はスーパーとコンビニを合わせ、1,500店舗に及ぶ。
 
●細谷だからできる! 特化した技術・サービスでお客様拡大
 冷凍・冷蔵機器を使う業態は幅広い。農業施設、製造工場、運輸倉庫、卸、学校、病院、老健施設、飲食店、小売店など多彩で、冷凍冷蔵設備の大きさや温度帯、設備環境も千差万別。コールドチェーンをつなぐ細谷工業のノウハウが物を言う。また、空調・給排水衛生設備の需要も多く、冷設との組み合わせによる省エネ提案や補助金活用提案など、お客様にとって何が最適かを常に考え活動している。その結果、取引施設数は延べ8,000件。中には、10年、20年と故障無しで使い続けるお客様もいる。かつては、調子が悪くなるとすぐに買い替える時代もあったが、「今は大切に使っていただくお客様が多く、ビジネスチャンスにつながっている。どのメーカーの設備でも修理できるのが強み」と可祝社長は語る。メンテナンス需要で新規のお客様も獲得しているという。「細谷工業に頼めば何とかしてくれる」とお客様の信頼は厚い。
 トータルに対応できる設計・施工技術と迅速に修理できる24時間365日のメンテナンス体制は、お客様の信頼に直結した。「迅速な対応は交通の便利な高崎だからこそ可能。90分圏のお客様を拡大したい」と高速道路を活用し他県へも展開している。
 
●地域をリードする環境企業に
 細谷工業では、お客様に機器を安心して長く使って頂けるように業務用冷凍冷蔵設備や空調設備の新規工事で「10年保証」を行っている。無料の保守点検を軸にした、冷媒ガス漏れと圧縮機本体の故障を10年間無料で保証するお客様サポートだ。この10年保証は、オゾン層破壊や地球温暖化防止が背景にあり、確実な施工と定期点検で冷却用のフロンガスが漏れることを未然に防ぐことを目的としている。
 細谷工業ではフロンガスの漏洩を検知する「フロンハンター」を群馬県産業技術センターと共同開発した。経年劣化によるガス漏れを早期に発見することで漏れ量を最小限に抑えることが狙い。また冷凍庫内に付着する霜を抑制するコントロールシステムによる省エネを提案するなど、可祝社長は、環境企業としての成長に力を注いでいる。特にフロンガス回収では、父の力雄相談役が全国の先駆けとして尽力してきた。親子二代にわたる環境への取り組みだ。
 
●今こそ挑戦の時
 細谷工業の社是は「誠実・感謝・挑戦」。可祝社長は「信念をもって達成できるまでやり続けることが大切」と人材づくりと技術開発に力を注いでいる。
 技術と人間力の向上を目指し、全社員が一年間で100時間以上の勉強を目指す100BEN」を実施している。社員が講師を務める社内勉強会や、各種メーカーの技術研修、最新技術や製品情報を学ぶための展示会、設備視察研修などに参加するか、またはその講師を務めることで100BEN達成を目指す。社内勉強会は月10回以上に及ぶ事もあり、開催回数だけでも並々ならぬ社員の意欲を感じさせる。
 委員会活動もユニークで、社員同士で顕彰しあうホソヤアワード委員会では、「縁の下の力持ちで賞」や、失敗を恐れずに挑戦した「GOGO賞」などを贈る。企業活動を通じて社員、協力会社、社会へと幸せを広げる「しあわせ向上委員会」は、可祝社長らしい経営理念の一角を示す。また、平成元年創刊の社内報「FORYOU通信」は、社員が交代で編集委員を務め、企画から校正までを行っている。記事もすべて社員が書くので、隠された才能に気づき驚くこともあるという。
 「創業55年。基盤が充実しつつある今こそ、次に挑戦する時」と可祝社長は新たな戦略を打ち出す。商品が芯まで凍るのにはどのぐらいの熱量でどれぐらいの時間がかかるか、冷凍や解凍による風味の変化はどうか等々、お客様の様々な課題や要望に応えられるよう、データ取りができる実験研究施設や、実機を使った教育が行える研修施設を作り、お客様に最適なシステムをトータルに提案していきたいと考えている。
 お客様満足を社会の幸せへと広げるのが可祝社長の理想。「HOSOYAとHAPPYの頭文字Hを重ねていきたい」と語る。

細谷さん


代表取締役 細谷可祝
群馬県高崎市並榎町85-7
TEL:027-362-7711

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