宇宙ロケット からどら焼きまで

(2016年08月22日)

群栄化学工業株式会社

●高崎に貢献する先端企業
 「常に新しい製品、技術を開発し、よりよい未来づくりに貢献していきたい」と、6月に就任した45歳の新鋭、有田喜一郎社長は、群栄化学工業株式会社の成長戦略を描く。有田社長は、大学院を卒業後、群栄化学に入社、生産、営業、総務管理を経験してきた。
 群栄化学は、ケミカルサイエンス分野の合成樹脂・高機能繊維などの化学製品、フードサイエンス分野のでんぷん糖類などの食品を二本柱に事業を展開している。
 高崎の工業はバランスよく発展していると言われる中で、食品と化学の工業出荷額がきわだっている。高崎市の工業出荷額は、太田市、伊勢崎市に次いで県内3位だが、太田市や伊勢崎市をしのぎ、県内トップを堅持するのが化学工業で、群馬県出荷額の3割を高崎市が占めている。群栄化学は地元高崎の化学工場として、高崎の産業を特徴づける企業であり、高崎を拠点にグローバルに展開している、高度な開発力を持つ先端企業である。
 
●戦後の町工場が東証一部上場
 群栄化学は、高崎に本社・研究所、群馬工場、国内生産拠点として滋賀工場、海外にはタイ・インドに生産拠点、ドイツに販売拠点を持つ。東証一部に上場し、グループは同社、子会社5社及び関連会社2社。2016年3月期決算の売上高は255億円、経常利益は21億円と好調な成績を示した。
 前身の「群馬栄養薬品株式会社」は、終戦間もない昭和21年1月に設立。当時、高崎の産業を支えてきた「理研」の技術者たちが戦後高崎の復興をめざして、ぶどう糖を生産した。創業時から技術者、科学者たちは情熱に燃え、早くも昭和26年に化学分野へ進出、町工場から上場企業へ成長する礎を築いた。戦後高崎の工業化の夢を実現した企業である。
 
●先端産業から食品まで多様な製品分野
 近頃、投資家情報や経済紙などに取り上げられている群栄化学のキーワードは「電子端末・半導体」「3Dプリンタ」「猛暑」で、群栄化学の製品の用途と将来性を示唆している。群栄化学の製品・技術は、「宇宙ロケット」から「どら焼き」まで幅広く使われているという。
 普段、「プラスチック」とひとくくりにしている樹脂製品は、機能・用途が非常に多様で競争の激しい分野だ。群栄化学は優れた特性を持つ樹脂材料を開発し、数多くの特許技術を持つ。業界から注目されているオンリーワン企業である。
 群栄化学だけが製造している特殊な分子構造をした耐熱繊維「カイノール」は、宇宙ロケット、耐熱服にも使われている。また「レヂトップ」という樹脂素材は単に成型加工されるだけではなく、シリコンウェハーに微細な回路パターンを焼き付ける半導体の製造工程で使われ、IT先端産業に不可欠な素材となっている。耐熱性、耐摩耗性に優れ、添加剤や建材など幅広い用途に応用されている。同じ樹脂素材が用途によって粒状、粉末、さらに液状にまで姿を変え(写真左上)、門外漢にとっては魔法としか思えない。
 
●日本の将来を担う技術 鋳造用砂型3Dプリンタ
 金属・機械製造で使われる鋳造用砂型にも群栄化学の樹脂が使われている。鋳造は、生産品と同じ形をした金型・木型から砂型を作り、その砂型の中に溶かした金属を流し込む。群栄化学の「レヂトップ」樹脂は、砂型に使う砂を固めるバインダ(接着剤)にも使われている。バインダは砂型の精度、砂の硬化時間などに影響を与え、群栄化学が研究を重ねてきた製品、技術の一つだ。自動車エンジンなどの鋳造砂型で高い評価を得ているという。
 砂型を作るための型の設計、加工にコスト・時間がかかるため、鋳造用砂型3Dプリンタの実用化が国家プロジェクト「TRAFAM(技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構)」として進められており、群栄化学はその一員として日本の未来を担う技術開発に携わっている。原理はインクジェットプリンタのように、ノズルからバインダを吹き出し砂を固め、層を重ねて砂型を生成するもの。群栄化学は原料を担当し、同社が開発した人工砂等を供給するなど業界から注目されている。
 
●独自製法で風味も豊か
 猛暑で需要が増加するスポーツドリンクなどの飲料に、群栄化学の糖類が使われている。同社研究所内のショールームには発泡酒、ビール、食品など使用されている製品が並べられている(写真右上)。どれも馴染みのあるブランドばかりだ。
 ぶどう糖など糖類は、群栄化学の草創期から続く大切な製品で、有田社長は「化学と食品の二つがあったから、好不況の波を乗り越えて成長できた」と実感している。糖類でも新しい製品や技術の開発が行われ、機能性と付加価値を高めている。業務用だけでなく、トースト用のオリゴ糖や和風飴、飲料などのオリジナル商品も販売している。
 群栄化学が開発した独自製法により、生産された糖類は、風味が豊かで素材の味をひきたて、保湿性を持っている。しっとり感が保てるので和菓子メーカーが「どら焼き」に使用している。
 「当社は素材を生産し、素材を通じてお客様の問題解決ができる」と有田社長。化学も経営も「魔法ではなく、日々の積み重ねが大切」と、5年先、10年先を見据えた計画を描く。「新しい素材開発に力を入れるとともに、収益性を高めていきたい」と語る。
 群栄化学では、地域貢献として環境に取り組むとともに、毎年「ぐんえい夏まつり」を開催して地元の人たちとの交流もはかっており、今年は20回目となる。

有田さん

「レヂトップ」製品群

代表取締役社長 有田 喜一郎
高崎市宿大類町700
TEL:027-353-1818

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