ビジネスパーソンにお薦めするこの1本 81

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス

志尾 睦子

1993年 アメリカ 76分 
監督:ヘンリー・セリック  
原案:ティム・バートン  
声の出演:クリス・サランドン/ダニー・エルフマン

しみ方にはコツがある

 一気に冬がやってきて、そして一年の締めくくりを迎える頃になりました。暑さが長引いたこともあり、私自身は冬支度がゆっくりになりましたが、世の中は季節の行事を暦通りに進めてくれるので、どうにか季節に追いつく事ができている気がします。もうすぐクリスマス。忙しいビジネスパーソンにもクリスマスはやってきます。そうしたタイミングに一緒に楽しむと日頃の疲れも癒やされるかもしれません。でもそこにはコツが、あるようです。自然と培ってきた経験と役割を存分に活かしながら、周りの声に耳を傾けて、手を取り合う事が大事なようです。今回は、そんな視点から楽しんでいただけるクリスマス映画をご紹介します。

 主人公はハロウィンタウンの住人・骸骨のジャック・スケリントン。ここはおばけたちの街で、一大イベントはハロウィンです。人間たちを脅かしたり、恐怖に陥れるのがもっとも名誉なこと。毎年この日を上手に取り仕切るジャックは、カボチャ大王と呼ばれるほど、皆からリーダー的存在として頼られていました。今年も一年の大仕事が終わり、皆から絶賛を受けるジャックでしたが、毎年同じことの繰り返しに本人は虚しさを抱えていました。何か新しい喜びはないものかと、うなだれて家に帰る道すがら、ジャックは雪に覆われたカラフルな楽しい街に迷い込んでいました。見るもの聞くもの全てが初めてのものばかり。お化けも悪夢もない町、そこはクリスマスタウンだったのです。ジャックの心は一気に燃え上がり、この素敵なクリスマスを自分たちでもやろうと、ハロウィンタウンの皆に呼びかけます。独学でクリスマスのことを学ぶジャックですが、どうもチグハグになってしまいます。本人は楽しいものを作ろうとするのですが、恐ろしいものがベースになってしまうのです。そんな様子を見つめるサリーは、ジャックの考えは理解するものの、これはうまくいかないはずだと心配します。しかし、ジャックはサリーの忠告も聞かず、自分の思いのまま突っ走ります。果てはクリスマスタウンからサンタクロースを誘拐し、自分がそれに成り代わろうとするのです。

 気持ちは純粋で、笑いと喜びいっぱいのクリスマスをしたいジャックなのですが、事態はそれとは真逆に進んでしまい、クリスマスタウンは大混乱に。果たしてジャックは、皆をハッピーにできるのでしょうか? それは見てのお楽しみ。

 皆さんに、楽しく素敵なクリスマスが訪れますように。

志尾 睦子(しお むつこ)
群馬県立女子大学在学中にボランティアスタッフとして高崎映画祭の活動に参加。群馬県内初のミニシアター「シネマテークたかさき」の総支配人を務めると同時に、日本を代表する映画祭である高崎映画祭総合プロデューサーとして活躍。

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