106.高崎新風土記「私の心の風景」

弥生人ゆかりの町

吉永哲郎

 群馬県は古墳県(以前一万基あったといわれる)として知られています。渋川市金井東裏遺跡で、6世紀初めの榛名山噴火で埋もれた人骨が、全国で初めて甲<よろい>を着けた状態で出土したニュースは、普段考古学などには関心のなかった人でも、自然災害と関連させ話題にしていました。この遺跡の現地報告会には、多くの見学者が県内はもとより県外から足を運んだようです。
 先日、初めて群馬に転勤してきた人に、「住宅地の中にさりげなく古墳があることに驚きますね」と言われました。そして、「私は考古学に興味があるものですから、転勤する先々で、知る機会のなかった古代遺跡と出会えると思って、時間がありますと、転勤地をぶらぶらします。」といい、最近一番驚いたことを話してくれました。
 それは、『竜見町』という住居表示板を見た時のことだというのです。その表示を見たとたん、もしかして「竜見町式土器」にゆかりのあるところではないかと思ったというのです。そして町内になにか案内板か説明板がないかと捜し、見当たらなかったので、住んでいる人に尋ねてみたところ、「知りませんね」といわれがっかりした、といわれました。
 そこであなたの思った通り、昭和の初めの発掘調査で、完全な形で弥生式土器がいくつも発見され「竜見町式土器」と命名されたゆかりの町名ですと、お教えすると、ニコッとされました。

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