災害時の屋外放送に新システム

(2017年04月7日)


アナログ防災無線は34年度が期限に

 高崎市は、災害発生時に公共施設等に設置した屋外スピーカーから放送する「防災情報放送システム」の整備を平成29年度から取り組む。

 防災行政無線が未整備の旧高崎地域の一部、浸水想定区域が変更された新町地域において、インターネット回線を利用した情報放送システムを整備する。

 現在、高崎市には箕郷、新町、榛名、吉井の各地域で、屋外スピーカーや戸別受信機で情報伝達を行う防災行政無線が合併によって引き継がれている。倉渕地域は、情報伝達手段として、農協の有線放送があったが平成23年度で終了したため、平成25年度に光回線を利用した屋外スピーカーを整備している。防災行政無線では、火災発生や高齢者の行方不明などの情報が放送され、地域の安心安全に役立っているが、音が歪む、風のある日は聞こえない、音声が山にはね返って聞き取りにくいなどの課題もある。

 高崎地域と群馬地域には、屋外スピーカー型の情報伝達の仕組みは設置されていない。一方、高崎地域では昨年8月には大雨で井野川の水位が上昇し、避難準備情報が発令されており、屋外放送が必要な地域もある。

 高崎市が計画している新しい「防災情報放送システム」は、通信インフラとしてインターネット回線を利用する。既にインターネット回線が引かれ、職員が常駐している高崎市の公共施設に、屋外スピーカーを取り付けるもので、屋外への情報伝達を確立しながら事業費の軽減をはかる。設置場所では、学校校舎の屋上などが候補になっている。平成29年度予算として6200万円が盛り込まれている。

 一方、箕郷、新町、榛名、吉井地域の防災行政無線についても、今後の方向が大きな課題となりそう。いずれの地域も合併前に各町が整備したもので約30年が経過しているアナログ方式で、市では点検・動作確認を行っているが、将来的には耐久年数の問題が浮上してくる。

 国は防災行政無線のデジタル化を進めており、現在、電波法により平成19年以降はアナログ方式での増設・改修はできない状況。アナログ方式は平成34年11月末で終了し、その期限までに自治体はデジタル方式に切り替えることになっている。

 平成26年3月段階の試算で、高崎市の防災行政無線をデジタル化するには40数億円と見積もられている。高崎市の防災行政無線を全てデジタルに移行していくのは困難という見方もある。

 倉渕地域では光回線を使って防災無線と同じ機能を実現しており、29年度に実施する防災情報放送システムも、高崎市の防災行政無線の方向を検討する上での試金石となりそうだ。

 災害時の情報提供について高崎市は、安心ほっとメールやフェイスブック、ツイッターなどのインターネット媒体、ラジオ高崎、高崎市広報車など、あらゆる手を尽くしていきたいと考えている。

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