高崎の鶏卵ブランド といえば『卵太郎』

(2018年04月28日)

有限会社三喜鶏園

 

 卵かけご飯を食べたくなる卵

玉子といえば鶏卵。家庭の食卓にもお弁当にも欠かせない存在だ。そんな卵と加工品のブランドとして、高崎産の『卵太郎』が浸透している。

4種類のブランド卵には、白い殻のオーソドックスな“もちはだ卵”。茶色の殻でビタミンEが通常の10倍の“ちゃめっけ卵”。昔ながらの味にこだわった“黄味の郷”。そして、ビタミンE30倍、ビタミンDが4.5倍、餌にパプリカを配合することでオレンジ色の濃い卵黄が特徴の“こだわり雅味”がある。プリン、シュークリーム、カステラ、バウムクーヘンなど、自社製スイーツは、新鮮な“こだわり雅味”だけをたっぷり使用しており、直営店や道の駅、高崎土産の販売店でも、卵屋のスイーツとして人気が高い。

何より卵の美味しさをダイレクトに味わえる卵かけご飯を食べたくなる卵だ。

鶏の快適環境を追求した鶏舎

榛名山西麓の標高600メートル、高崎市倉渕町水沼の人里離れた豊かな自然に囲まれた広大な敷地に、12棟の鶏舎が立ち並び、37万羽の鶏を飼育する㈲三喜鶏園の水沼養鶏場。

暑さに弱い鶏にとって、夏の暑さを自然の風だけでしのげるという理想的な場所。また、鶏の細胞を潤す水は、地下200mから汲み上げる地下水を使用。「鶏はとてもデリケートです。例えば餌の成分は同じでも、メーカーが変わっただけで食べなくなったり、鶏舎の温度が上がっても卵を産まなくなるなど、鶏にとって平穏でノンストレスな快適環境を確保することが最優先。特に鳥インフルエンザ対策には細心の注意を払っています」と話す富澤太郎社長。

鶏舎の中はコンピュータ管理され、採卵・給餌・除糞、そして温度や換気、日照管理など全て自動で行われている。一方、農場のスタッフは鶏舎を巡回し、常に鶏の状態に気を配る。孵化して130日から2年以内の若鳥たち。ご機嫌が上々なら、およそ25時間で1個の卵を産み落とし、37万羽から毎日約35万個の卵が採れる。

 

 全自動化を実現したGPセンター

採卵された卵は、出荷に向けてGPセンターに運ばれる。スタッフは入室前にクリーンルームで埃を除去するなど、徹底した衛生管理の下で作業が進められる。

まず、60℃のお湯で殻を洗浄し、紫外線で殺菌。目視による検査と微細なひびまで検知できる最先端の自動ひび卵検査装置を通して、ひびの入った卵を取り除く。次に、分光分析技術を搭載した自動血玉検出装置で、血液が混じった卵を取り除く。最後に、人工知能ロボットにより、サイズ別に仕分け・包装され、商品ラベルが貼られる。

こうしてみると、富澤社長の「養鶏業は農業ですが装置産業」という言葉に納得。AI技術等の導入で、1時間に3万5千個の卵が迅速に処理されている。

出荷先は、高崎を中心としたスーパーや食品卸業者、食肉卸業者、築地市場など。製菓店や飲食店などへの直接納品もある。

 

6次化に着手 直営店出店で知名度UP

同社の設立は、昭和44年(1969)2月。飼養羽数2万羽からのスタートだった。元々は周囲の多くの農家と同様に養蚕を中心とした農家で、養蚕・製糸業の衰退が進む中、本格的に養鶏場の経営に乗り出したのが、富澤素行現会長だった。自然豊かな高原に土地を購入、昭和53年に水沼農場を開設し、飼養羽数を8万羽に。昭和57年にはGPセンターを開設するなど、着実に規模拡大の地固めを進めてきた。

そして、息子の太郎さんの入社を契機に、翌平成15年(2003)に、卵と加工品の直売所『たまご市場卵太郎』を本社内にオープンした。「オープンには3つの理由がありました。卵の価格は相場で決まるので、自分たちで値段が決められるものへのあこがれ。三喜鶏園の知名度アップ。そして、工場には工場長、農場には農場長がいるので、“店長”という自分の居場所づくりです」と笑う。

スイーツ開発には自ら先頭に立って取り組み、厨房機器メーカーのインストラクター等に指導を受けながら半年ほどかけた。その後、平成24年(2012)に『たまご市場卵太郎』は、自宅の養蚕農家の家屋を改装した新店舗でリニューアルオープン。スイーツの数は約20種になり、“おかあさんが作るホームメイドおやつ”をコンセプトに、あくまで新鮮でおいしい卵を宣伝するツールとして販売している。

また、規格外の“大玉”(特殊な二黄卵)や生後120日の若鳥が生む“初産み卵”、色・形・キズが残念でも中身は一級品と変わらない“ずっこけ卵”など、生産者直営店ならではのお買い得限定商品を目当てに、オープン前から並ぶ人たちもいる。週末は多くの来店客で賑わっている。

 

“三喜”の実践が成長の原動力

「全国的にみて鶏卵業界における当社の規模は“中の中”」と言う富澤社長。今後、直営店での卵料理の提供や、養鶏羽数の拡大を図るなど、業界の追い風に乗って、新たな挑戦に意欲をみせる。

また、三喜鶏園の“三喜”は、売り手(従業員)、買い手(お客様)、世間(地域社会)の三方よしを表しており、同社では、その精神の日常的な実践を大切にする。新鮮でおいしい卵を供給すること、お客様の笑顔に応えること。この一点に企業努力を惜しまない姿勢で、周囲に幸せな波動を広げていく。

代表取締役  富澤 太郎さん
高崎市下里見町1358
TEL:027-343-3829
http://www.sanki-rantaro.com/

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2018年2月

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