ビジネスパーソンにお薦めするこの1本 74

エクストリーム・ジョブ

志尾 睦子

2019年 韓国 111分
監督:イ・ビョンホン
出演:リュ・スンリョン/イ・ハニ/チン・ソンギュ

五月病を吹き飛ばす
痛快傑作コメディ

 新年度に加え、コロナ禍から抜け出すための世の動きもだいぶ活発化してきました。変化に慣れると同時に、少し体と心が疲れてきたと実感する人も多いのではないでしょうか。五月病という言葉もありますが、がむしゃらにやっている時には気づかない疲れが、ドッと押し寄せる時期でもありますね。

仕事は好きなのだけど、どうもうまくいかない。頑張っているのに成果が上がらない。気持ちは焦りますが、そんな時こそ思い切って体をゆっくり休ませることが先決のような気がします。そして、心の栄養にはスカッとする映画をどうぞ。今回は痛快で笑えて泣けるお仕事映画をご紹介します。

 登場人物は麻薬取締班に籍を置く5人の刑事たち。コ班長率いるこのチームは麻薬犯の取り締まりに明け暮れてはいるのですが、全く成果の出ない日々が過ぎ去っています。このままではチームは解散、失職も免れない崖っぷちへと追いやられた時、コ班長は国際犯罪組織のボスが帰国するという情報を掴みます。彼らの組織を一網打尽にできれば大金星です。コ班長はチャン刑事、マ刑事、ヨンホ、ジェフンの四人を引き連れ、その組織のアジトを監視し始めました。組員たちも時々利用しているアジト目の前のチキン店に入り浸り、24時間体制で張り込み捜査をすることに。チキンを食べ続けること1週間…なかなか、アジトの有力な情報を得られない彼らに、店の主人は「店を畳む」と告げます。ここまできて店がなくなっては自腹のチキン代も水の泡、犯罪組織に近づく手立ても無くなってしまう!と慌てた彼らはつい、店を買うと宣言してしまいます。決死の覚悟で店まで買い取り、偽装営業を始めながら任務に就く5人。何をやってもうまくいかない、と思いきや、なんと実家が焼肉店のマ刑事が驚きの能力を発揮し、なんとも美味しいチキンを作ってしまいます。そして店はまさかの大繁盛。張り込みのための営業のはずが、繁盛店となり、彼らの日常が少しずつ変化していきます。そして、いよいよ犯罪組織が動き出す時がやってくるのですが…。

 刑事の本分か、今の幸せか。5人それぞれの役割がこの岐路を行きつ戻りつさせるのですが、それぞれに共感するところがあり、笑って泣けてしまいます。仕事を一生懸命やりすぎて、なんのために頑張るのかわからなくなることもありますね。一度はそんな風に感じたことのあるすべての人にお届けしたい一作。自分は誰かな、と思って見るのもオススメです。

志尾 睦子(しお むつこ)
群馬県立女子大学在学中にボランティアスタッフとして高崎映画祭の活動に参加。群馬県内初のミニシアター「シネマテークたかさき」の総支配人を務めると同時に、日本を代表する映画祭である高崎映画祭総合プロデューサーとして活躍。

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