第34回高崎映画祭受賞理由(1)

(2020年01月16日)

『嵐電』 ©Migrant Birds/Omuro/Kyoto Univercity of Art and Design
『最初の晩餐』 ©2019『最初の晩餐』製作委員会
『宮本から君へ』©2019「宮本から君へ」製作委員会

最優秀作品賞・最優秀監督賞

最優秀作品賞

鈴木卓爾監督『嵐電』 鈴木卓爾監督 スタッフ・キャスト一同

常盤司郎監督

鈴木卓爾監督=1967年静岡県生まれ。京都造形芸術大学映画学科准教授。

高崎映画祭受賞歴=第25回(2011)最優秀監督賞『ゲゲゲの女房』

受賞理由

人々が持つ情熱や憂慮や苦悩が、町とともに息づき、電車に乗って誰かに届けられていく。出会いも別れも、過去も未来も、縦横無尽に飛び越えて、この物語は人の温もりをつたえようとする。風景が人を描き、人が風景を描く、その素晴らしい相関関係がこの作品には見て取れる。豊かな人間性を、自由な発想で繊きこんだ丁寧な仕事だ。映画の世界観と素晴らしいチームワークが高く評価された。

 

最優秀監督賞

『最初の晩餐』常盤司郎監督

常盤司郎監督=福岡県生まれ。本作が劇場長編映画デピユー作。

受賞理由

ある一つの家族の姿を通して、絆や愛や信頼の姿を描き出していく物語だ。人生を終えた父親が最後に託した想いを、妻は子どもたちへと繋いでいく。人の想いは人の手によって確実に受け継がれていくが、それはそれぞれの小さな思いやりと信念が紡ぎ出すものに他ならないことをこの物語は教えてくれる。手間暇をかけ、愛情を込め、人のことを思って作る料理が、人の心を育むことに大いなる感動を与えられる。人が積み重ねていく年月の歩みを丁寧に捕き、家族と人間の豊かな感情をすくい上げた演出手腕が高く評価された。

 

最優秀監督賞

真利子哲也監督『宮本から君へ』

真利子哲也監督=1981年、東京都生まれ。

高崎映画祭受賞歴=第25回(2011)着手監督グランプリ『イエロー・キツド』

 受賞理由

大人のはずの男が、自分の内面にとことんまで向き合うことできらに成長を遂げていく段階を、直球で描きこんでいく力作である。一人の人間の成長薄にとどまらず、いびつな社会構造が生み出したゆがんだ家族像にも目を向け、日本社会の問題点を浮き彫りにする。その上で、一人の人間が体を張って生き抜くことの意味を公明正大に問いかけようとする。映画が解き放つエネルギーを存分に体感する映画となった。この表現力と訴求力は唯一無二のものである。

 

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