岸さんの名演を心に刻む

(2017年01月10日)

アンコールにこたえる岸さん

高崎で千秋楽

 女優岸恵子さんの一人芝居「わりなき恋」が昨年12月14日、15日に高崎市文化会館で行われ、満場の観客を魅了した。この芝居は岸さんが著した同名のベストセラー恋愛小説を自ら舞台化したもので、全国で好評を博し、高崎での公演が千秋楽となった。岸さんが芝居の舞台に立つのもこれが最後となり、岸さんの舞台の千秋楽でもあった。
 高崎と岸さんは深い縁で結ばれている。戦後、22歳の岸さんが国民的ヒロインとして、群馬交響楽団の草創期を描いた映画「ここに泉あり」に主演し、高崎を拠点に県内で長期ロケを行った。「ここに泉あり」の成功により、芸術文化が高崎の都市づくりの大きな柱となった。
 岸さんは、昨年3月に第30回高崎映画祭の特別賞を受賞し、約60年ぶりに高崎の地を訪れ、9月には高崎音楽祭オープニングコンサートのトークゲストとして群馬交響楽団との夢の再会を果たした。12月の「わりなき恋」公演は、この年の三度目の来高で、大女優の大きな節目となる舞台を高崎で迎えることになった。「ここに泉あり」から年月を経て、岸さんの舞台を高崎市民は心に刻み込むことができた。音楽のある街・高崎、映画のある街・高崎の原点が、岸さんであったことを確信させる公演となった。
 15日に最後の舞台を終えた岸さんは、観客のアンコールにこたえ「この千秋を思い出深い高崎でやらせていただいたことをうれしく思います」と語った。控室では「ここに泉あり」で岸さんが演じたピアニストのモデルで群響草創期の楽団員・風岡裕子さんや、岸さんの子役として抱かれた赤ちゃんで出演した長岡健一さんと再会。風岡さんは「岸さんの思いが伝わる舞台でした。ここに泉ありや昔のことを岸さんとお話しでき、とてもよかったです」と話していた。

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