第34回高崎映画祭受賞理由(5)
(2020年01月16日)
最優秀新進女優賞・最優秀新進男優賞・最優秀新人女優賞・最優秀新人男優賞
最優秀新進女優賞
『岬の兄弟』和田光沙
受賞理由
身体的な障がいを持つ兄とたったふたりで生きてきた妹・真理子を演じている。自開症で様々な分別がつかない真理子が、あることをきっかけに、性の売り物として生活資金を稼いでいく。そうしたデリケートでハードな役柄を、臆することなく大胆に演じ、生命力に満ちた女性像に仕立て上げた。肉体と精神を役柄につぎ込み体現した人物像は、圧倒的な存在感を放っている。観る者の心を提えて放きないその表現力と求心力が高く評価された。
最優秀新進男優賞
『半世界』杉田雷麟(すぎたらいる)
受賞理由
同級生からイジメられる少年は、そこに抗いたいと願いながらまだ、成す術を知らない。その目の奥から浮かび上がる彼の苦悩が胸に迫る。そして多感な少年は自己を見つめると同時に大人達を見る目を持つようになる。その表情の変化に、ドキリとさせられる。物語の未来を担う重要な役どころを見事に演じあげたポテンシャルの高さと、強い意志を感じさせる役作りに感嘆の声が集まった。
最優秀新人女優賞
『ある船頭の話』川島鈴遥
受賞理由
船頭の元に流れついてきた謎めいた少女の物憂げな瞳が印象深い。時代の変革を静かに捕きこむ物語において、この少女の出現は屹立とした運命の象徴でもある。物語の本質を浮かび上がらせる事に成功した神秘的な存在感に観るものは魅了され、多くの賞賛と支持を得た。
最優秀新人男優賞
『最初の晩餐』楽駆
受賞理由
母と二人で新しい家族の元へやってきた少年を演じる。複雑な心境を持ちながらも、今の時間、今の家族と向き合おうとする青年の誠実さが、その役作りから滲む。成長過程の青年のみずみずしさと、大人になろうとする意志を感じる清々しい存在感が観る者の心を打ち多くの賞賛と支持を得た。
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